「なんだか堅苦しくて敷居が高そう」 「お稽古って必ず正座でするの?」
そんな声を聞くこともありますが、日本の伝統文化のひとつである生け花は、 わたしたちの生活に寄り添った文化であり、気軽に趣味として楽しむ人も増えています。
最近では、日本文化が海外で注目を集めていることから、 外国で「華道“kado”」や「生け花“ikebana”」の単語が、 そのまま通じることも多くなっています。
そんな生け花について、今回は初心者が知りたいあれこれをいくつかまとめてみました。
「生け花」って何?
広い意味では、いくつかの花や草木を器に生けて作品を作り出すことです。 花を生ける風習は、6世紀に仏教の流入と共に仏前供華(ぶつぜんくげ)として始まったと言われています。 仏前供華はその後、飾る花や、花合わせなどの遊びの花と互いに影響をおよぼし合い、 室町時代末に「華道」へと発展し、現代まで脈々と受け継がれてきました。
今や生け花は老若男女問わず楽しむことができ、 花と向き合う楽しさ、心の癒し、生活を豊かにする趣味や習い事として広く受け入れられています。
生け花って礼儀作法に厳しい?
生け花はお稽古を通して礼儀作法が身につくため、 「生け花を習っていたおかげで自然とマナーが身についた」とよろこびの声をよく聞きます。 では、お稽古は堅い様子なのかといえば、実際は気軽で楽しく自由な雰囲気であることがわかります。
生け花って難しい?
「生け花はお座敷や床の間に飾るもの」そんな固定観念をもっていませんか? もちろん格調高い生け花も素晴らしいのですが、毎日の暮らし中にも生け花は気軽に取り入れることができます。 飾る場所にも決まりごとはなく、リビングのテーブルやテレビのサイドボードの上などに季節の花を飾ることで、 周囲の雰囲気は豊かになり、暮らしの充実度が高まります。
フラワーアレンジメントと生け花の違いって何?
どちらも同じ花の楽しみ方ですが、フラワーアレンジメントと生け花では、作品に対しての考え方に大きく違いがあります。 フラワーアレンジメントは「足し算の美学」、生け花は「引き算の美学」と言われています。 足し算の美学であるフラワーアレンジメントは、空間を埋めるためにたくさんの花を使い作品を作ります。 対して、引き算の美学である生け花では、できるだけ少ない数の花や草木で空間をいかした作品を作ります。 華やかさだけではない、個々の花や草木の命をいかす、そうした精神や、余白の美を重んじるのが生け花だと言えます。
生け花に必要な道具は?
まずは生け花をするうえで花を切るための花ばさみが必要になります。 普段、文房具として使用するクラフトばさみとは違い、生け花には専用の花ばさみがあります。 鉄製やステンレス製など、材質やサイズに違いがあり、最近ではカラフルな色の花ばさみも登場しています。 また、生け花を習い始めてお稽古場に通うようになると、お花の持ち帰りに花袋があると便利です。
この他、用途に応じた花道具や花器、切り花を美しく保つ水揚げ剤などがあります。 こうした道具は、一部ホームセンターでも販売していますが、専門店や華道具専門のオンラインショップを利用するといいでしょう。
生け花は、誰でも気軽に始められる日本の伝統文化として人気があります。 また、長く続けられている方でも「一生をかけても学びきれない」と言うほど奥が深いもの。
「お花が好き」「日本の伝統文化に興味がある」「花のある暮らしに憧れる」、 そんな方に生け花はぴったりです。一緒に生け花のある暮らしを楽しみましょう!